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市民防災に関する各種調査

 市民防災ラボでは、一般市民の防災対策といった自助から、自主防災組織や消防団など地域防災を担う共助など、主に市民防災分野における人々の防災意識・活動実態の調査・分析活動も行っております。

防災意識に関する調査報告

 2009年-2010年
災害情報・警報に関する認知度アンケート
災害時の適切な避難行動や自主防災活動には、災害情報の理解が不可欠です。今回は、当方講演会へ来場された一般市民(地域住民や自主防災組織・町内会役員など、自助・共助対象層)に対し、地震・津波・風水害に関連した警報類について、認知度・理解度をアンケート調査しました。

アンケートの概要

実施期間 2009年1月〜2010年10月
対象者 主催者同意が得られた、当方が講演を行う防災イベントに来場された、一般市民、また町内会・自主防災組織・消防団など地域防災に関係する地域住民
アンケート方式 聴衆配布物に無記名式アンケート用紙を同梱、開会までの時間に来場者へ案内を行い、講演会終了後に会場出入口の回収コーナーへ任意提出
回答方式 合計12種類の災害情報・警報の各々について、認知度・理解度に応じ、以下から選択する四択式
1.言葉・意味・取るべき対応も知っている
2.言葉・意味は知っている
3.言葉だけは知っている
4.まったく知らない、初めて聞いた
有効回答数 737

災害情報・警報に関する認知度アンケート 実施環境 災害情報・警報に関する認知度アンケート アンケート記入風景 災害情報・警報に関する認知度アンケート アンケート提出風景
防災講演会 実施例 アンケート記入風景 アンケート提出風景



  

アンケート設問の災害情報

地震関連 緊急地震速報の計1種
津波関連 津波注意報と津波警報、大津波警報、緊急警報放送(注1)の計3種
風水害関連
(水害・土砂災害)
洪水注意報と洪水警報、はん濫注意情報とはん濫警戒情報、高潮注意報と高潮警報、記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報の計6種
有事国民保護関連 有事国民保護サイレンの計1種
情報伝達手段 緊急割込放送の計1種 (注2)
(災害警報では無い為、適当に全問を「取るべき対応も知っている」と最良の回答をすると誤答になる為の引っ掛け的設問)
注1)緊急警報放送テレビ・ラジオ放送を通じ対応機器を強制起動させ、各種緊急情報を伝える情報伝達手段。しかし,実質的に津波警報・大津波警報でしか運用されず、意味・対応もそれに準ずる事から、津波関連警報として扱った。
注2)緊急割込放送災害関連警報ではなく、放送中のラジオ・テレビ放送に直接割り込んで情報を伝える伝達手段。主にコミュニティ放送で、災害対策本部等からの公的緊急放送に用いられる。内容は災害や段階により様々である。

  
  

アンケート結果の注目点(一部)

 合計12種類の災害情報・警報へのアンケート結果のうち、興味深い結果の一部を以下に紹介致します。なお、詳細な調査結果はアンケート調査報告は後日掲載予定です。

注目点1:津波注意報・津波警報・大津波警報の違い
 津波注意報・津波警報は約8割の人が理解しているものの、大津波警報は正しく理解できていない人が多い事も観察できました。後者について、全く知らないとの回答が16.7%。言葉だけ知っている層も全体のほぼ1/4の24.6%にもにのぼり、約4割以上の人が正しく理解してないのが印象深く感じます。

 各々の基準の違いまで理解が進んでいないのかもしれません。(津波注意報:予想高さ1メートル以下、津波警報:同3メートル以下、大津波警報:同3メートルより高い)
 

注目点2:河川洪水予報への低い理解
 増水時の避難勧告・避難指示の元となるのが河川洪水予報。はん濫注意情報は洪水注意報に相当するもの。また、河川ごとに設定された避難判断水位を超えると、洪水警報の最初の段階である、はん濫警戒情報が発表されます。この段階になると、自治体は避難勧告を検討し始めます。

 しかし、これらを全く知らない人が41.0%と全体の約4割。言葉だけしか知らず、意味や対応は知らない人を含めると64.1%。約65%の人は理解が浸透していない結果となりました。
 

注目点3:有事国民保護情報への低い理解
 自然災害ではないものの、武力攻撃やテロなどの有事も、人によって起こされる災害つまり人災と言えるでしょう。この様な時に、避難や安全確保を呼び掛ける災害情報・警報として、国民保護サイレンというものがあります。

 今回の調査では、設問に挙げた12種類の災害情報の中で最も認知度が無く、全く知らないと答えた人だけでも70.0%、言葉だけ知っており意味や対応を知らない人も含めると、何と81%の人が正しい理解がない結果となりました。

 戦後、欧米はもとよりアジア周辺諸国でも行われてきた国民保護(海外では民間防衛)ですが、日本では、2004年の国民保護法を含む有事関連法が成立まで取り組みが遅れていた為、馴染みのない方も多いと思います。

 サイレン音を含め国民保護については、内閣官房 国民保護ポータルサイトで案内があるので、こうした機会にご覧になるのも良いでしょう。
 

  
  

詳しい調査報告書はこちら

調査報告書
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