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防災体験館 体験レポート

省スペースでも体験重視で幅広いコーナーがある消防署併設型施設 レポート
岡山県 倉敷市消防局防災センター 訪問'13/3/13
倉敷市消防局防災センター 内部

岡山県南部の歴史と工業と繊維産業の街、倉敷にあるのが倉敷市消防局防災センターです。消防局合同庁舎にある併設型防災体験館ですが、コンパクトながら地震・火災・救急・風水害など地域事情に根ざした多彩なコーナーがあり、しかも体験コーナーを主体とした意欲的施設です。

倉敷市消防局防災センターの概要

1 倉敷市消防局の外観 2 駐車場は10台分あり
倉敷市消防局 外観 倉敷市消防局 駐車場
防災センターは倉敷消防署合同庁舎の1階、庁舎西側1階の八角形状部分です 庁舎西側に駐車場10台程度あり、バスでもバス停目の前でアクセスは良好

3 消防局庁舎 入口 4 倉敷市消防局防災センター 外観
消防局庁舎 入口 倉敷市消防局防災センター 外観
右に消防車庫を眺めつつ入口へ、防災センターはロビーを入ってすぐ左です 事前予約なしで訪問した事もあり、照明・機器電源は節電で落とされている模様

5 防災センター 平面図 6 受付に消防・救助隊の顔ハメ看板
倉敷市消防局防災センター 平面図 倉敷市消防局防災センター 顔ハメ
館内は円形にコーナーが並ぶ、平面図では入口から時計回りに回るよう矢印が 受付脇に記念撮影様に顔ハメ看板、受付は無人でブザー類も無いので向かいの事務室へ




  

倉敷市消防局防災センターの体験コーナー

本レポートは2013年訪問時のものです。当施設は2015年に、倉敷市の防災体制、Q&Aコーナー、故障箇所などを改修してリニューアルしました。詳しくは公式サイトをご覧下さい。

1 倉敷市の防災体制コーナー 2 防災施設案内や動画もあり
倉敷市の防災体制 外観 倉敷市の防災体制 操作パネル
市域ジオラマに消防・防災関係機関や避難所を表示、市の防災体制の解説動画も 2015年リニューアルで、わが家仕様の防災地図が作れる倉敷市MYハザードマップに

3 救急コーナー 4 訓練人形で心肺蘇生法を体験
いざという時の救命処置を訓練人形で体験、救急・応急処置解説ビデオは「調整中」 壁の胸骨圧迫・人工呼吸の解説パネルを見ながら、全身タイプの訓練人形で手技体験

5 緊急通報コーナー 6 風水害コーナー
緊急通報コーナー 外観 風水害コーナー 外観
画面の状況に合わせ、固定電話や緑公衆電話での119番通報を体験できます 暴風被害は少なく浸水被害が起きる平坦な地域性を反映、映像メニューは「調整中」

7 火災コーナー 8 地震体験室
火災コーナー 外観 地震体験室 外観
火災での炎や煙の特性や動き方、避難方法をビデオで学びますが、これも「調整中」 地震のしくみや身を守る方法を映像(やはり「調整中」)で学んで、起震台で揺れを体験

9 キッチン風2次元起震台 10 地震時の行動確認パネル
地震体験室 キッチン風2次元起震台 地震体験室 地震時の行動確認パネル
任意震度以外に、阪神淡路大震災、昭和南海地震、関東大震災、日本海中部地震を再現 震度や発生時対応を表示、火元にいれば消火しますが基本は「地震だ身を守れ」です

11 火災関連体験コーナー 12 消火体験室
火災関連体験コーナー 外観 消火体験室 外観
地震に次いで初期消火、更に煙避難体験と、災害時の現実的順序でコーナーを配置 解説ビデオを見て、画面の天ぷら火災に赤外線模擬消火器を放射、当たり判定あり

13 煙避難体験室 14 煙避難体験室 平面図
煙避難体験室 外観 煙避難体験室 平面図
火災避難の動画を見てから、無害な煙が漂い停電した通路を誘導灯を頼りに脱出 室内各所に姿勢やドア操作センサーがあり、安全に避難できたか表示されます

15 総合テストコーナー 端末と解説 16 Q&A端末は3名同時体験可
総合テストコーナー 総合テストコーナー クイズ端末(3名同時体験可)
当館で学んだ地震・火災・風水害の知識をクイズ端末で復習、壁には解説も クイズは3択問題、3人同時参加が可能なQ&A端末が2台ありますが「調整中」

17 家庭の備えコーナー 18 非常持出品サンプルも展示
家庭の備えコーナー 家庭の備えコーナー 非常持出品
災害時の避難への家庭の備えと知識を解説、災害時の警報に関する3択クイズあり 非常持出品の中身サンプルや、自宅常備の防火用品・緊急告知FMラジオを紹介


  
  

体験した印象

 交通アクセスも良く、コンパクトでも体験コーナー中心の多彩なコーナーをコンセプト良く配列した、消防署併設型にしては意欲的で教訓的な防災体験館です。通常、本施設くらいの規模であれば、救急体験コーナーや地震体験コーナーは無い事が多いものです。また、解説パネルは必要最低限に留め、基本的には参加型の映像コーナーや体験コーナーなどのインタラクティブ性の重視が伺える施設でもあります。また、コーナーの配列順に脈絡や災害時の現実の順序が感じられない施設も多い中、本施設では、まずどんな場合でも大切な救命処置と119番通報、そして災害の基礎知識、次いで地震・初期消火・煙避難体験といった、ある程度の整合性・ストーリーを感じるコーナー配置が見られるのも良いコンセプトです。これらが相まって、楽しく触れて知識も身に付く、啓発施設として効果的なバランスを生み出しています。

 ただ、ハードは良くても啓発施設としての運営上のソフト面で残念さが残る訪問となりました。まず1つ目は、動かない展示機器が多すぎること。各コーナーで、ポイント解説やポイントのまとめとして設置されている、ビデオやクイズ機器の多くが「調整中」で使えなくなっていました。1997年のオープンから15年以上が過ぎた事による老朽化や、救急コーナーの様に教授内容が古くなり使えなくなった物もあると伺えます。
2つ目は、来館者への施設職員の放置ぶり。その施設の普段の姿を見たいため、基本的に事前予約なしでその施設を訪問する我々はもちろん、後から別々に来た2組の家族にも誰も応対がなく、防災センターの電気も消えたまま。常々予期して訪問する我々は良いとして、2組のご家族は中を見る事無く帰ってしまったのは実に残念です。
訪問予約者がなければ、使わない電気を消すのは省エネルギーのため特段驚きません。しかし、本施設は防災センター向かいの事務室からこちらの様子が見えるうえ、活動服を着た消防局職員が沢山ロビーを行き来してはこちらを見ている(真っ暗な中で施設をウロウロしていれば当然怪しい)にも関わらず、滞在した1時間ほどの間、誰からも声を掛けられる事もありませんでした。かくて、本ページの掲載写真はかなり薄暗い中フラッシュを多用して撮影し、更に明るく画像編集したものばかりとなりました。
(こちらから一声掛ければ済む事ですが、今回の様に、啓発施設のすぐそばに職員事務室がある場合、敢えて声を掛けずに佇んでスタッフの対応を見る事にしています。)

 1つ目の機器の使用不能については、2015年4月の施設リニューアルで解決しました。2つ目に関しては、啓発施設を運営する以上、公務員にもある程度の広報意識は必要な点を意識する事でしょうか。しかし、来館者に目を配る余裕が無いなら、スイッチ式または人感センサー式呼び出しチャイム、もしくはインターホンを受付カウンターに設置するか、そうでなくとも「御用の方は○○○までお声掛け下さい」程度の案内標示を置くだけでも解決できると思いますが、如何なものでしょう。

  
  

倉敷市消防局防災センターの施設情報

 
所在地: 岡山県倉敷市白楽町162-5 倉敷消防署合同庁舎1F
URL: http://www.city.kurashiki.okayama.jp/dd.aspx?menuid=15892
TEL: 086-422-0119
開館時間: 9:00-17:00
入館料: 無料
休館日: 月曜(祝日の場合翌日)・年末年始
交通アクセス: JR山陽本線倉敷駅南口より下電バスイオンモール倉敷帯江茶屋町線「倉敷消防署前」下車すぐ、またはJR倉敷駅・水島臨海鉄道倉敷市駅より徒歩約20分
駐車場: 10台

映像シアター 消火体験 あり 土砂災害
119番体験 あり 煙避難体験 あり 火山
地震体験 あり 水害 あり 応急手当 あり
津波 台風体験 耐震補強
ガイドツアー 随時開催(受付へ申し出て下さい)
10名以上の団体は要事前予約