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防災体験館 体験レポート

防災体験というより防災教育、楽しくしっかり学べる防災体験館の東の横綱 レポート
東京消防庁 本所防災館 (本所都民防災教育センター) 追補'13/8/6
本所防災館 体験ツアーの様子

東京駅と秋葉原駅から3駅の錦糸町。そこにある国内屈指の防災体験館が、東京消防庁の本所防災館です。体験ガイドツアーを基本とし、楽しくもしっかり防災を学べる教育レベルは、東京のみならず各地からやって来る人で、平日でも混雑するほど。都内唯一の暴風雨体験・浸水時の水圧ドア体験ができる施設として、メディアにも頻繁に登場するこの施設をレポートします。

本所防災館の概要、自由見学・体験が可能なコーナー

1 本所消防署の一角にあります 2 本所防災館 入口はこちら
東京消防庁 本所消防署 外観 本所防災館 入口
横川3丁目バス停そば、錦糸町駅と押上駅を結ぶ、四ツ目通りを東に入るとあります 国内有数の大きさの本所防災館ですが、意外にも本所消防署併設の防災体験館です

3 受付カウンター周辺 4 防災体験ツアーの案内
本所防災館 入口・受付ロビー 防災体験ツアー 案内看板
入口を入ると、防災用品・消防グッズ販売コーナーがあり、受付は更に奥にあります 受付には、その日の体験ツアー予定が参加希望を申し出て、開始時間まで待ちます

5 1階 待合い・イベント広場 6 2階 119番通報体験コーナー
待合い・イベント広場 119番通報体験コーナー
普段は待合いスペースですが、休暇時期は防災イベントや企画展などが行われます 公衆電話や携帯電話など、様々な場合での119番通報の方法を体験可能

7 3階 液状化実験コーナー 8 3階 川の手地域コーナー
地盤の液状化実験 低地と水害コーナー
地震で地盤が弱くなり、建物傾斜・沈下の元となる液状化現象を再現します 都市部や低地で起こる、都市型水害や内水氾濫を、映像と同期するジオラマで再現

9 3階 防災ライブラリ 10 1階 こども広場・クイズコーナー
防災ライブラリ 防災クイズコーナー
災害の基礎知識や防災対策について、情報端末や図書で学べる学習コーナー 体験コース後は防災クイズに挑戦、体験コースの修了証もこの端末で発行されます

11 クイズの挑戦は任意 12 問題画面はこんな感じ
防災クイズ 画面 防災クイズ 画面
修了証には防災クイズの評価欄もありますが、挑戦してもしなくてもOKです 防災知識に加え東京の消防に関する問題も、中には思わぬ難問もあり侮れません




  

体験ガイドツアー:ショートコース (3Dシアター+2体験メニュー)の例

一部に、現在ではリニューアルされた以前の内容を含んでいます

1 ガイドが解説しながら案内 2 3Dシアター(各コース共通)
ガイドによる解説風景 3Dシアター 内部
体験ツアーでは、ガイドが解説しながら進みます、解説内容・レベルは非常に高いです 初訪問時は上の写真の内容ですが、現在は地震と津波がメインの内容に変わっています

3 3D映像とボディソニックで迫力 4 煙体験コーナー・解説
3Dシアター映像 敢えて判りにくい場面を載せます 煙体験コーナー 煙の危険性解説
実写作品の他に、全編CGアニメ作品もあります、どれも教訓度の高いものばかりです 当館の煙体験は、基本的にビル火災への対応がメイン、まずは煙の危険性を学びます

5 いよいよ煙体験室に 6 食品ベースの無害な煙が充満
煙体験コーナー 煙体験室内部
数名ずつ煙体験室に入ります、手荷物は、各体験コーナーに置き場があります 安全かつ迷わず避難する為の、ポイントを踏まえ脱出します、喘息の人は発作に注意

7 体験者の対応の良否がモニターに 8 続いて地震体験コーナー
煙体験コーナー モニター 地震体験コーナー
全国屈指の長さを誇るコースの随所に仕掛けあり、対応の良否が外のモニターに表示 東日本大震災などの再現や、震度7迄の震度、高層建物の長周期地震動を体験可

9 地震体験ブースの様子 10 磁気カードを持ってツアーを回る
地震体験コーナー 地震発生中 成績記録用磁気カード
テーブルが未固定なので、よりリアルな体験に、またスポンジ製のタンスが倒れます ツアー参加者各人には、各コーナーの成績を記録する磁気カードが配られます

11 体験終了ごとにカードに記録 12 最後に修了証を発行します
磁気カード 記録風景 修了証発行
各コーナーの体験後に、備え付けの記録端末にカードを通して、成績を記録します 最後に、磁気カードを機械に挿入して修了証を発行、画面下からプリントアウトされます

13 こんな感じの修了証です    
  
修了証に各コーナーの成績が5段階評価で記載、未体験コーナーは0で記されます  


  
  

体験ガイドツアー:基本コース(3Dシアター+4体験メニュー)の例

1 応急手当体験コーナー 2 心肺蘇生法を教わります
応急手当体験コーナー 内部 心肺蘇生法体験
1階の応急手当体験室は、心肺蘇生等の講習を大人数で一斉に行える広さです 半身人形を使って、救命に最低限必要な心肺蘇生法をインストラクターが教えてくれます

3 AEDの使用法も教わります 4 渡り廊下で別棟に移動
AED使用体験 別棟渡り廊下
心室細動などの致死的不整脈を止める、AED(自動体外式除細動器)も体験します 消火体験・暴風雨体験など、水を使う体験コーナーは別棟に移動して行います

5 消火体験コーナー 6 画面に水消火器を放射します
消火体験コーナー 外観 消火体験コーナー 内部
ガラス張りのコーナー前にはたくさんの椅子、混雑待ちでも中を見て待てます 一般的な施設より広い体験ブースが、しかも複数あり、多人数でも十分対応可能

7 消火法を教わり画面に放射 8 続いて暴風雨体験コーナー
消火体験 放射の様子 暴風雨体験 着替えスペース
訓練用水消火器の他に、壁に設置された屋内消火栓でも消火法を体験できます 暴風雨体験は、通常のツアーでは応急手当コーナーとの選択で体験できます

9 雨具を着込んでいよいよ体験 10 激しい暴風雨に打たれてみると
暴風雨体験室 内部 暴風雨体験中
色・サイズ豊富なレインウェアに着替え、体験室に。暴風雨・暴風のみ等各種選べます 風速30メートル・時間雨量30ミリの暴風雨でも、視界はおろか呼吸も辛いほど強烈

11 暴風雨で迂闊な外出は禁物と実感 12 都市型水害体験コーナー
暴風雨体験後は中まで濡れます、夏場はいい涼を得られますが
迂闊な着方では雨具の中まで少し濡れます、体験の際は袖口と首元のガードを念入りに 旧家庭の防災用品コーナーが、浸水時の水圧によるドア閉じ込め体験コーナーに

13 都市型水害−水圧ドア体験 14 自動車版の水圧ドア体験も
建物版 水圧ドア体験装置 自動車版 水圧ドア体験装置
浸水の深さごとに、ドアに掛かる水圧を機械的に再現、逃げ遅れる事の危険を実感 冠水・水害・津波など車で浸水した時の、ドアに掛かる水圧を体験、脱出法を教わります


  
  

体験した印象

 今迄、プライベート・仕事を問わず20回近く行っている本所防災館ですが、いつ来ても、体験内容・ガイドの解説レベル共に日本屈指。防災体験館における東の横綱と感じる施設です。ここに関しては、防災体験を飛び越え、防災教育施設と言う方が適切でしょう。
(普及のためのエンターテイメント性は、西日本の施設の方が数段上ですが。)

 なお、地震・消火・煙避難・暴風雨・応急手当などの各コーナーは、安全上ツアーグループが部屋を出る度施錠されるため、ガイドツアーに参加しなければ体験風景もなかなか見られません。それだけ、体験ガイドツアーを主体とした構成となっています。加えて、ガイドツアーの他に自由見学・体験コーナーもあるため、ショートコースでも2時間半程度は所要時間を見込んだ方がいいと思います。

 3Dシアターで以前に上映されていた「東京直下マグニチュード7−私の証言」は、随所に防災の教訓を含む非常に濃い内容ですが、ドラマ中で解説が一切ないため、ただただ恐い内容だった(それだけでも充分かもしれませんが)という事にもなりかねず、教訓を見過さぬよう心して見る事が必要でした。一部に入る7,80年代フィルム映像の恐怖感が、個人的にはツボにはまっています。現在では上映内容が、「3.11 わたしたちは何を経験したのか」、アニメ「マイホームワーク ボクたちに渡された3つの記憶」などにリニューアルされましたが、これらは他の東京消防庁の池袋・立川防災館でも見る事ができます。

 なお個人・団体問わず、写真・動画撮影には施設の許可が必要です。受付にて申請用紙に記入のうえ、許可証を首から下げて見学します。同じく有償・無償(町内会報含む)を問わず、印刷媒体への掲載は本所防災館宛にFAXなどで紙面を送付する必要があります。結構管理は厳しいです。とはいえ、ロビーでの仲間内での記念撮影などは、スタッフが気軽に助けてくれます。

 最後に交通アクセスですが、建物自体は表通りに面しておらず、案内看板もあまり大きくないので、初めて行かれる方は迷う可能性もあるのでご注意下さい。なお案内看板は、四ツ目通りの東側(施設側)に地面から立っています。

  
  

東京消防庁 本所防災館の施設情報

 
所在地: 東京都墨田区横川4-6-6 本所消防署内
URL: http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-hjbskan/
TEL: 03-3621-0119
開館時間: 9:00-17:00
入館料: 無料
休館日: 水曜・第3木曜(祝日の場合翌日)・年末年始
交通アクセス: 東京メトロ半蔵門線錦糸町駅4番出口、京成・東武・都営・東京メトロ押上駅(とうきょうスカイツリー駅)B1出口より徒歩約10分。JR錦糸町駅北口より、都営バス都08・錦37系統「横川3」下車徒歩約3分、または徒歩約13分
駐車場: なし(団体バスは要駐車場予約)

映像シアター あり 消火体験 あり 土砂災害
119番体験 あり 煙避難体験 あり 火山
地震体験 あり 水害 あり 応急手当 あり
津波 台風体験 あり 耐震補強
ガイドツアー 定時開催
(団体は事前電話予約が必須、混雑の為個人でも事前予約を推奨)
基本コース(3Dシアター+4体験 1時間50分):9:10、10:30、13:10、14:30から
ショートコース(3Dシアター+2体験 1時間10分):11:50、15:30から