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被災生活のための非常食体験レポート

災害派遣や平時の演習はもちろん、過去の災害で被災者にも交付された レポート
自衛隊戦闘糧食から、非常食のヒントを得る  

かなりマニアックですが、自衛隊の野戦食「戦闘糧食」(りょうしょく)の試食レポートを紹介します。非常食と言えば、つい「サバイバル食」というイメージを持ってしまうもの。でも被災生活は、片付けだ何だと普段以上に体を動かすので、耐乏食では体が持ちません。過酷な野外活動を支えている食品の割に、かなり内容豊富な自衛隊戦闘糧食を、当コーナーでは非常食のイメージと構成を見直す参考品として紹介します。

自衛隊戦闘糧食ってどんなもの?−基礎解説

1 缶詰版の戦闘糧食I型(1型)です 2 主食缶は湯煎して食べます
缶飯 戦闘糧食I型 缶飯 戦闘糧食I型 各種
缶入りなので「缶飯」、大きい主食缶1個に小さい副食缶1〜2個で1食分のメニュー構成 主食缶は白飯・赤飯・とり飯・五目飯・しいたけ飯の5種類、25分湯煎で3日間は喫食可能

3 レトルト版の戦闘糧食II型(2型) 4 不透明レトルト・トレー版もあり
戦闘糧食II型 主食透明パック 戦闘糧食II型 主食ラミネートパック
レトルトパックで軽量化した戦闘糧食II型、主食は「パック飯」とも呼ばれ10分間湯煎 透明・不透明パックご飯と同じで、近年はトレー式もあり、実は市販品と同じです

5 II型の副食パックです 6 II型のオールインワンセット
戦闘糧食II型 鮭塩焼パック戦闘糧食II型 鯖生姜煮パック
写真のパックは鮭塩焼と鯖生姜煮、各々おかず・サラダ・スープ・漬け物類が入ってます クラッカーを主食に、ビーフハムステーキ・ポテトサラダ・卵スープで、なんと日本ハム製




  

自衛隊戦闘糧食 メニュー・試食リポート一覧

自衛隊戦闘糧食は下記のメニュー構成のセットの様です。主食・副食が別個のパッケージになっているものの、実際の現場では在庫状況や各人の好みに応じて交換するそうなので、必ずしも下記のメニュー通り交付される訳ではないようです。
(官給品のため、支給する事を「交付」と呼ぶそうです。自衛隊も公務員ですので)

それにしても、以下のいずれかのメニューを参考に、非常食を組み合わせたり市販品をプラスするだけでも、食の快適度や被災生活を乗りきるカロリー面共に充実する事でしょう。

形式 番号 メニュー名
I
 

 
 


No.01 乾パン、ウィンナーソーセージ、オレンジスプレッド
No.02 白飯、鶏肉野菜煮、まぐろ味付、たくあん漬
No.03 赤飯、鶏肉もつ野菜煮、たくあん漬
No.04 赤飯、コンビーフベジタブル、まぐろ味付、たくあん漬
No.05 とり飯、牛肉野菜煮、たくあん漬
旧〃 赤飯、牛肉味付、たくあん漬
No.06 とり飯、ます野菜煮、たくあん漬
No.07 しいたけ飯、味付ハンバーグ、福神漬
No.08 五目飯、牛肉味付、たくあん漬
II
 

 
 




No.01 白飯×2、ハンバーグセット
旧〃 大型乾パンセット(乾パン 主・副食)
No.02 ドライカレー、五目飯、フランクフルトセット
No.03 白飯×2、ビーフカレーセット
No.04 ハムステーキセット(クラッカー 主・副食)
No.05 白飯、ドライカレー、チキンステーキセット
No.06 白飯×2、中華丼セット
No.07 白飯、五目飯、中華風肉団子セット
No.08 白飯、蟹炒飯、酢豚セット
No.09 白飯×2、牛丼セット
No.10 豆ご飯、山菜飯、やきとりセット
No.11 とり飯、赤飯、鮭塩焼セット
No.12 白飯、山菜飯、鯖生姜焼セット
No.13 白飯、山菜飯、筑前煮セット
No.14 白飯、赤飯、まぐろステーキセット
注)メニュー等は変更されて、現在は本表の内容と異なっている事もあります


  
  

自衛隊の災害派遣における戦闘糧食交付の記録

過去の主要な災害で、この戦闘糧食I型(缶詰食)はどれくらい配られたのでしょうか。なかなか全容は掴めませんが、幾つかの資料にはこの様な記載があります。

1995年 阪神淡路大震災
  1. 「1/18 8:00 海上自衛隊補給艦など7隻が、非常用食糧10万食と飲料水1620tを積載し、呉を出航」(読売報道写真 阪神大震災全記録 P.133)

  2. 関西地区補給処保管分(主食13万800食、副食28万1568食)と二次として管理換えを受けたもの(主食13万9200食、副食31万3200食)を供給 (関地補行災命第1-2号 兵庫県に対する非常用食料貸与業務実施に関する関西地区補給処行動命令)

  3. なお、阪神大震災における自衛隊の災害派遣では、延べ人員約220万人・車両約340,000両・航空機約13,000機・艦艇約680隻が活動して、被害偵察、行方不明者の捜索・救助、遣体収容、患者輸送、救護所設置・巡回診療、救援物資輸送、給水・給食支援、テントや入浴施設の設置・運営を行いました。(旧防衛庁 平成7年版防衛白書)
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