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防災イベント体験レポート

子どもが楽しみながら防災に触れる、1泊2日の防災・避難所生活体験イベント   レポート
子ども避難生活体験イベント わんぱくサバイバル   体験'06/04/19

 2011年からの新学習指導要領で、防災教育の機会が小学校中高学年に拡大されますが、現状では、子ども向けの防災教育の機会はわずかしかありません。それで今、子どもに楽しみながら防災を学ぶきっかけやアイデアが求められています。その一助になればと、1泊2日の宿泊型避難生活体験イベント「わんぱくサバイバル」に、同伴の許可を頂き参加したので、その内容と実感をレポートします。

1日目−開講式・各種防災体験・非常食調理・避難所宿泊

1 会場は収容避難所の小学校 2 自治体主催のイベント
会場となる小学校 手製のイベント案内看板
収容避難所に指定された学校を使い、広報等の募集に応募した子ども達がやってきます。 これは静岡県所管のイベントで、各市区町村を通じ、各地のボーイスカウトへが指導します。

3 まずは開講式から 4 続いて起震車体験
参加者全員で開講式 静岡県の防災指導車
初日の開始は午後から。まずは全員揃って開講式。次いで班に別れて自己紹介を行います。 開講式が終わると、県の防災指導車で地震体験。揺れや発災時の安全確保を体験します。

5 様々な地震と対処法を実習 6 次は消火器の使い方講習
起震車体験 消火器講習
起震車は、3次元で過去の地震や想定地震を再現可能。想定東海地震などの揺れを実習。 消防署員が、消火器の正しい使い方を教えてくれます。

7 訓練用水消火器で実際に放射 8 ケガの応急手当講習
水消火器体験 三角巾の取り回し
始めは恐る恐るでも呑み込みが良く、3,4年生なら、反動に負けず的に当てる事ができました。 応急手当のための三角巾の使い方講習。訓練用の三角巾で、基本的な取り回し方を実習。

9 三角巾で各種の手当方法を 10 夕食用ハイゼックス炊飯体験
三角巾での頭部外傷保護 ハイゼックス炊飯
1枚で様々に使える三角巾で、ケガや骨折の手当法を体験。子どもなりに上手に憶えます。 災害時の炊き出し用備蓄品でお馴染みの、ハイゼックス炊飯袋で夕食の炊き出しを作ります。

11 調理に非常用給水タンクも使用 12 炊飯袋ごと鍋で30分煮て完成
この学校では上水道と接続した給水タンクを普段から使っています これだけ調理器具と熱源があれば、他にも多彩なメニューもできるとは思いますが
米と具材を入れた炊飯袋に、避難所の1t給水タンクから水を入れ、空気を抜いて縛ります。 湯煎に近い炊飯で、同時大量調理が可能。防災グッズレポート 不思議なめし袋とも似ています。

13 出来上がった食感は 14 食後は避難所宿泊の準備
ハイゼックス炊飯 完成の様子 避難所スペース作り
食感は通常炊飯に劣りますが、個包装のため、大量配食・袋を容器替わりにでき衛生的です。 夕食後は、避難所宿泊体験の準備。グループ毎に段ボールで就寝スペースを作ってもらいます。

15 就寝区画というか秘密基地? 16 夜の訓話を経て初日は就寝
就寝区画作り 日没に沈む避難所
長期避難者用の仕切り設営を、子ども用にアレンジ。真面目一辺倒より遊びの要素も大切です。 防災のお話やミニゲームで初日は終了。就寝時間は明かり減灯、トイレは体育館の施設を利用。


     

2日目−救護体験・消防車見学・閉講式

1 朝は救護方法体験から 2 応急担架作りを体験
応急担架体験 応急担架に人を乗せる
お湯で調理したアルファ米で朝食の後、レスキュー隊の指導で、応急担架作りを体験します。 子どもの力で災害時の実践は疑問ですが、身近な物の活用を実感する機会にはなるでしょうか。

3 次いでロープワーク体験 4 慣れない結び方に悪戦苦闘
ロープワーク体験
避難時の身体固定や、上階から安全な吊り下ろしなどに役立つ、結束法を教わります。 基本的なもやい結びでも、子どもには難しく、レスキュー隊員が丁寧に教えます。

5 次は校庭で消防車見学 6 救助工作車の装備を解説
救助工作車見学 救助装備品の解説
屋内の体験を終えて、今度は校庭に。消防署から来た救助工作車を見学します。 レスキュー隊員自身が、救助工作車に搭載された救助装備を解説したり、触れさせてくれます。

7 キャビンに乗車体験も 8 避難体験用間仕切りを撤収
救助工作車 乗車体験 避難所用仕切り撤収
救助工作車の運転席や後部座席に、実際に乗車体験も。子ども達も結構興奮気味です。 体育館に戻って、終了に向け撤収開始。段ボールで作った仕切りを片付けます。

9 体育館も掃除をして 10 閉講式で締め括り
清掃の様子 閉講式の様子
寝床を片付けたら、1泊2日を過ごした体育館を片付けて、荷物を整理していよいよフィナーレへ。 この2日間の体験を振り返りつつ、わんぱくサバイバルの最後を締めくくります。

11 参加者に修了証が渡されます 12 わんぱくサバイバル無事終了
修了証交付 終了して保護者と帰宅
最後まで参加した皆さんへの、修了証の授与式をもって、わんぱくサバイバルは締めくくりです。 解散して、市内各地の地元に帰る生徒達。今回の体験が、将来に活かされる事を願いつつ。


     

体験した印象・良かった点

 現在のところ、子どもに向けた、防災教育の機会はそう多くはありません。せいぜい年1回程度の避難訓練と、総合学習の時間にわずかな機会に、パネルや小冊子で災害のしくみを解説する程度なのが実状です。そもそも避難訓練は、学校における危機管理態勢の訓練・検証を主とするため、子どもへの防災を考える気付きの機会にはなっても、きちんとした防災教育とまでは、なかなか至っていないのが実情です。また、ただでさえ少ない授業時間を、勉強以外の内容に振り向ける事への異論などもあります。

 そうした現状にあって、今回参加したわんぱくサバイバルは、「楽しみながら防災」のスタンスで、気軽に参加できる良いイベントでした。事実、会場となった学校の校区以外にも、市内の各地から参加者が来る盛況ぶりがそれを物語っています。

 特に有益だと感じた点として、災害時に実際に使われる環境での避難所宿泊体験・災害備蓄食糧試食体験が挙げられます。これは、大人であっても体験する機会がないので、貴重な経験となった事でしょう。また、火災消火や救護法体験も、子どもが実際にできるかは別として、原体験をさせる意味では格好の機会だと思います。特に、それらを親元を離れて行う事で、親に頼れない状況がある事、自主的で自立した危機管理意識を持つ必要がある事に、気付いてくれれば何よりではないでしょうか。

課題点

1.避難所運営関係者との連携・共催でより現実的な体験を
 収容避難所となる施設を使うイベントであれば、災害時に運営を担当する自主防災組織と連携・共催するならなお良いでしょう。自主防災組織にとっては、実際に避難者を入れた、実働型の避難所開設・運営訓練を兼ねる事ができます。またイベント参加者にとっても、避難所内の区画割りをはじめ、実際の災害時になされる形式で宿泊・滞在体験ができて一石二鳥となるでしょう。

2.防災担当課職員か地域自主防災リーダーの監修・参加を
 わんぱくサバイバル事業は、静岡県教育委員会が主催し、ボーイスカウト静岡県連盟に実施を依頼して行われています。確かに、ボーイスカウトは野外活動術には長けていますが、防災事情に関しては心許ない部分も見られます。そうした部分を、消防職員等で埋め合わせていましたが、防災担当課職員や地域自主防災リーダーの監修・参加がある方が、より具体的で現実的なものになるでしょう。災害に関する正しい知識や、地元で実際に災害が起きた際の、公助・共助の現実をプログラムに組み込む事ができるからです。