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防災イベント体験レポート

阪神大震災を教訓に、災害派遣での救助工作ツールが装備されました   レポート
陸上自衛隊一般公開での防災展示   追補'04/10/06

災害時に、自衛隊は地元自治体からの要請に基づき、災害派遣に出動します。阪神淡路大震災の頃は多くの隊員がシャベルや手掴みで救出作業を行いましたが、今は違います。小隊・中隊規模で、消防レスキューなみの救助工作ツールを装備するようになりました。どんなものを持っているのか、2002年7月14日に富士山の麓の陸上自衛隊富士学校・富士駐屯地 創立48周年記念行事で行われた防災展示を見てきました。

1 まずは救助展示の状況説明 2 要救助者の元に隊員到着
ドアが歪んで開かない車に実際に人が乗っています 高機動車が被害箇所に現着
突然の災害で車内にいたまま瓦礫に閉じこめられた状態です。さてどの様にして救助するのでしょう、では「状況開始!」 隊員を乗せた高機動車が現場に到着。夏場にも関わらず、車の中には負傷者役隊員が1時間前から閉じこめられていました。ご苦労様(笑)

3 隊員が降りてまず状況確認 4 救助工作の基点づくりを開始
隊員による状況偵察 スライディングハンマーを使用
偵察員が降車して、被害状況と要救助者の状態を確認。同時に他の隊員が救助資機材の選定を始めます。 ドアが歪んで開かないので、破壊して救出を決定。スライディングハンマーを使って、救助機材が入るだけの隙間や穴を作り出すようです。

5 スライディングハンマー一式 6 油圧機器で隙間を押し広げます
スライディングハンマーは打ち込み系工具です 消防のレスキュー隊も常備しています
スライドする金属製の杭の重さによる打撃力で、穴開け・こじ開け・鉄板切りまでいろいろこなす、手動の救助・建設用工具です。 スプレッダーという油圧工具を使い、6トン近い力で、切断工具が入るくらいまで車体の隙間を押し広げます。

7 油圧スプレッダーと手動ポンプ 8 ドアヒンジを切断して救出
他にもメーカー名から「ルーカス」「ホルマトロ」と呼ばれる事もあります また、いろんな救助工具がある事を示す展示のためでもあり、効率優先なら他の方法があるでしょう
エンジン式油圧ポンプと、耐圧ホースで繋いで、油圧力で押し広げたり逆に締め込んだりできます。右にある様な手動油圧ポンプも接続可能。 エンジンカッターで切断して中から救出。これは私も前職で使ってました。火花を嫌う車輌からの救出故、今回は多数の工具を使うようです。

9 救助したら応急手当を開始 10 収容して現発し、無事終了です
ここまで行かなくても、応急手当くらいは私達でもできるようにしたいものです 確かに人多すぎですが、一次救命は数が力の面は大きいです
救出と同時に、酸素吸入をはじめ応急手当開始。左側では一瞬のうちに空気圧でギプス固定しました。スピーディーです。 車に収容し、病院へと出発して一件落着。これにて「状況終わり」。展示ですしマンパワーの多さは力とはいえ、要救助者に対して隊員多すぎ。

11 展示後、体験させてもらえます 12 油圧カッターと油圧ラム
何人も体験してゆくうちに、車はどんどんスクラップに 油圧カッターと油圧ラムが並びます
救助工具を体験させてくれます。写真は前の番の人。女性でもメキメキとドアを破壊可能、工具は重くても動作はスイッチ1つです。 写真右の油圧カッターは、30トンの力で切断できる工具。左の油圧ラムは、20トン近くの力で隙間を押し開け可能。共に油圧ポンプと繋ぎます。

13 万能斧と手動ユニツール 14 爪付き油圧ジャッキ
万能斧は「弁慶」「トップマン」とも呼ばれ、ユニツールは赤バイにも装備されます 油圧ジャッキとまで行かなくても、自家用車用パンタジャッキでも十分役に立ちます
上の万能斧は破壊・こじ開け・ガス栓開閉ができる個人携行ツール。下のユニツールはスプレッダーとカッター兼用の手動油圧ツール。 数センチの隙間でも赤丸部分の爪で対応。カー用品売場にある油圧ボトルジャッキの大型版です。ジャッキは倒壊時の救出工具に便利。


     

行ってみた印象

 学生時代、関東から岐阜までクラスメイトに誘われてからかれこれ十数年、今度は初めて自分で自衛隊のイベントに行ってきました。自衛隊は国土防衛がもちろん主任務ですが、同時に災害派遣に関しては前身であった警察予備隊創設直後の1951年(昭和26年)から行われてきました。しかし90年代の様々な災害・事件・事故によって、災害救助が認知されるようになってきたのは周知の事実です。

 以来、社会の期待を背景にしてより専門的な災害救助体制を整備しつつあるようです。阪神大震災の際、まともな工具もなく、シャベルや素手で何でもせざるを得なかった反省から、陸上自衛隊ではこのような装備を「人命救助セット」という名称で各部隊単位で配備しています。これら実は、消防レスキューが持っているモノとほぼ変わりません。とはいえこれらを配備数はまだ多くはないので過剰な期待は禁物です。大規模災害の場合はとても賄いきれないので、自分達の身は自分達で守らねばなりません。しかし今回のイベントで、自衛隊に関して新発見ができたような気がしました。

参考リンク:  リンク  自衛隊の災害派遣について知ることのできるページ