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救出救護・避難グッズ体験レポート

脱出・救急グッズ体験レポート#01
災害時に役立つ鋸(ノコギリ)を考える

単身家庭は別として、大抵の家ではDIY道具としてノコギリの1本くらいはあると思います。学校の技術家庭の授業で使って以来、そのまま道具がある人もいるでしょう。いざという時大活躍できるノコギリを、眠らせたままにするのは勿体ない話です。でも災害という特殊な事情の元では、どんなノコギリがより役立つのかちょっと試してみました。

1 ノコギリにも種類いろいろ  2 おなじみ大工用両刃ノコギリ
左から大工用鋸、折り畳み鋸、造園用鋸  目の細かい大工用鋸
一口にノコギリと言っても種類は様々。我が家にあるノコギリから幾つか比較します。どれもホームセンターで買える普通の物です。  一般的にノコギリといえばこれ。それぞれの側に横挽き・縦挽き用の鋸刃があります。元々は大工用にきれいな断面で切断するためのもの。

3 家庭向け折り畳みノコギリ  4 これは造園用ノコギリ
家庭向けの折り畳み鋸  植木屋さん御用達の造園鋸
刃渡り18cmと小振りですが、大工用よりも目が粗く鋸刃の厚みもある「未来目」というタイプの鋸刃を採用。替え刃と交換可能。  使い込んでますが、前職でも使った粗目の鋸刃です。鞘に入って、ガンマンよろしく腰から下げて使います。刃渡り長めの27cm、折り畳み不可。

5 直径6cmの枝で切断テスト  6 大工用では遅く刃も割れそう
ちょっとした角材程度の太さの  大工用鋸で切るのはコツが要り、太い柱ほど噛み込んだ時に折りやすいです
災害時ノコギリを使って人を助ける場面を想定して、切断時間と切れ具合をテスト。本当は太い角材がいいのですが。  19秒で切断。切り口は綺麗でも速く切れません。刃が薄いので、要領が悪いと写真の様にたわんでパキーンと刃を折るかも・・・

7 粗目なので速さ・切れ味良好  8 造園用ノコギリも良好
刃渡り180mmなので切るストロークがちょっと窮屈かも  刃渡り240mmなのでストロークも適当
12秒で切断。目が粗いとガシガシ切れ、鋸刃も肉厚でヨレる心配なし。短い刃渡りは狭所でもOKな反面、太モノには苦労しそう。  11秒で切断。こちらも不安なくスピーディー。刃渡り長めなので解放空間なら取り廻し共に適当サイズ。

9 経験上これが一押しです     
現場で人気のゴムボーイ   
土木系を始めとした過酷な現場でも愛用されるゴムボーイ。自分は現場仕事の経験上、これを防災用品に入れてます。   



     

「ノコギリ」のデータ・個人的評価

グッズ名・製造元 サイズ・重量 仕様 評価 ネット購入
Silky ゴムボーイ240(粗目)
株式会社ユーエム工業
2980円(2002年当時)
全長50cm
折込時27cm
刃渡り24cm
重量274g
折込可
替刃交換可
未来目採用
衝撃焼入れ
切断性
★★★★★
携帯性
★★★☆☆
災害時実用性
★★★★☆
こちらでネット購入もできます
こちらで購入可
SegareX-278(廃盤品)
(同様の造園鋸は沢山あり)
2980円(1999年当時)
全長40.5cm
刃渡り27cm
重量272g
(鞘付き)
折込不可
替刃交換可
衝撃焼入れ
切断性
★★★★★
携帯性
★★★★★
災害時実用性
★★★☆☆
 
Silky F-180
株式会社ユーエム工業
2380円(1997年当時)
全長40.5cm
折込時23.5cm
刃渡り18cm
重量176g
折込可
替刃交換可
未来目採用
切断性
★★★★☆
携帯性
★★★☆☆
災害時実用性
★★★★☆
 
大工用両刃のこぎり
(どこにでもある安物鋸です)
1480円(1995年当時)
全長53.5cm
刃渡り21cm
重量124g
折込不可
替刃交換不可
切断性
★★☆☆☆
携帯性
★☆☆☆☆
災害時実用性
★☆☆☆☆
災害時にはおすすめしません

感  想 災害時により有効なのはこのタイプ
粗目の鋸刃の方が、通常のノコギリよりも食いつき・切りかすの排出がいいので、より速くより軽い力で切れます。折り込み鋸の場合は広げると両手挽きもできGoodです。また鋸刃が肉厚で曲がりにくいので、柱などの太い木材を斜めに切るなど、悪いコンディションで切る際にもより安定して切ることができますよ。

こんなモノに注意!
安い大工用両刃鋸は鋸刃の目が小さく、切りかすが目詰まりして切れ味が落ちやすいものです。また鋸刃が薄いため鋸刃自体が曲がりやすく、切り進めるうちに柱などの荷重で刃が挟まった際に、本職以外の慣れていない方は不用意に鋸刃を折り易くなります。大工用ノコギリは、あくまで作業スペースが十分ある環境で、時間を掛けてもきれいな断面で切断するための物です。

総評
災害時の使用という観点でノコギリを見ると、綺麗に切れる事よりいかに速く・楽に切れるかが第一です。こうした点では、やはり仮枠大工・造園屋さんが使う粗目の替刃式のこぎりが、一番適しているのではないかと思います。造園用など腰下げ式の鋸は、極端に狭い場所に潜り込む際は邪魔になるかもしれませんが、それ以外の点では同様におすすめです。
この手の鋸は刃渡り21cm・24cm・27cmが主流で、更に前後に18cm・30cmのバリエーションがある製品もあります。一般の人が使うなら、21cm〜27cmくらいが適当かと思います。庭木の剪定や日曜大工にも便利ですよ。
余  談 自主防の備品で普通の大工用両刃鋸を置いているのをよく見聞きします。災害現場では様々な向きから様々な木目が組合わさった建築建材を切る必要があり、鋸刃の丈夫さ・縦/横/斜め挽きのできる特殊性が必要です。
この点で大工用両刃鋸ではなかなか切り進めず、最悪刃を折ってしまった場合、交換ができず現実的ではないと感じています。大工用両刃鋸は平時の大工仕事ではその能力を発揮しますが、何事も適材適所です。できれば見直した方がいいと経験上思いますが、大工用を使うならせめて替え刃式で縦・横・斜め挽きのできるモノを・・・
テスト時期 2003年11月

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