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防災のポイント・提言集

地震後の津波からの避難を、テレビ・ラジオで促す災害情報 ポイント
地震後の津波避難を呼び掛ける緊急警報放送  

テレビで情報収集  災害が起きそうな時や災害が起きた後、テレビから情報を得るのが一般的と思います。風水害・土砂災害・火山噴火・雪害などは、ニュース・天気予報などで、事前にある程度は状況を予測できますが、突然やって来る地震ではそうもいきません。

 このページでは、大規模地震後の津波はじめ一刻を争う事態に情報を伝える、緊急警報放送について解説します。

緊急警報放送 (Emergency Warning System、略してEWS)とは?

緊急警報放送 実際の送出画面 2003年  緊急警報放送は、地震・津波・他の緊急時に、放送局から送出される緊急警報信号によって、対応するテレビ・ラジオ等を強制起動して緊急情報を伝える低ビットレート(64bps)データ放送の一種です。このシステムは、1985年にNHKと民放13社で運用が始まり、現在はさらに多くのテレビ・ラジオ局でも運用されており、緊急を要する下記3つの事態で放送されます。

緊急警報放送が送出される事態 警報の種類
1.内閣総理大臣が大規模地震の警戒宣言を発表した場合
  (大規模地震対策特別措置法第9条第1項の規定による)
地震警報
(第1種開始信号)
2.都道府県知事・市町村長が災害の警告を伝達する場合
  (災害対策基本法第57条の規定による)
3.気象庁が津波警報を発表した場合
  (気象業務法第13条第1項の規定による)
津波警報
(第2種開始信号)

上記3つのうち、これまで津波の時のみ稼働してきたため、実質的には津波警報の警報手段となっており、特に沿岸部にお住まいの方には役立つ警報といえます。

緊急警報放送を受信するのに必要な物は?

 緊急警報放送に対応する家電製品は、主に以下のものがあります。多くの場合、警報画面への自動切替、中には電源オフ状態からの強制起動を行って、津波警報などを受信できます。

緊急警報放送対応のテレビやラジオ

緊急警報放送 対応機器  対応機器は割とありましたが、執筆時点では、地上デジタル放送対応のテレビや車載チューナー、据置型ラジオなどの一部で対応品が販売されています。

ですが、電源オフからの強制起動のために必要な待機電力SONYブラビアシリーズは10〜13W)への懸念や、家電メーカーの生産コスト抑制傾向などから、日本では普及があまり進まない現状です。

ちなみに海外では、自然災害や武力攻撃にも対応した Emergency Broadcast System(EBS、1960〜1990年代)や Emergency Alert System(EAS、1990年代〜現在)が運用されています。それに比べ、東西冷戦期に同じ最前線にいたはずの日本は、随分遅れている感が否めません。

緊急警報信号の波形  なお、非対応機器でも、緊急警報信号自体が可聴信号でもあるため「ピロピロ」と鳴って視聴者に注意喚起します。ただし緊急警報放送を送出するチャンネル(事実上NHKのみ)を、視聴中である場合に限ります。

[参考] スマートフォンや従来型携帯電話

 厳密に言えば緊急警報放送ではありませんが、現代では、スマートフォンや従来型携帯電話が最も身近な津波警報機器になっています。

津波警報や自治体からの要請を受け、「緊急速報エリアメール」「緊急速報メール (Softbank) (au/KDDI)」などのサービスか各携帯電話会社から提供されており、それらに対応した従来型携帯電話、スマートフォンでも標準または対応アプリを入れる事で受信できます。



  

試験放送−平時に緊急警報放送に触れる機会

緊急警報放送 試験放送  緊急警報放送を運用するテレビ・ラジオ局では、試験放送を行っており、多くの方にとってはこれが緊急警報信号を聞く良い機会となるでしょう。ちなみに試験放送は、
  • NHKは毎月1日(1月のみ4日)の正午前
  • 民放は各局で異なる (放送開始・終了前後が多い)
    に行われます。慣れない内容と試験放送独特の雰囲気に、少々不気味さを感じるかもしれませんが、偶然遭遇した時にはよく見ておくと良いでしょう。

    関連コンテンツ・参考リンク
    HTML NHKオンライン よくある質問・受信相談「緊急警報放送について
    HTML 家電部屋 緊急警報放送(EWS)とは
    過去の送出実績、試験放送予定から技術面まで、密度の濃い情報が詰まっています。

    緊急警報放送の基本的心得

  • 緊急警報放送は、特に津波に対する有用な警報手段
  • 地震・津波予知ではなく直前警報システムである
  • 対応機器があるなら強制起動できて更に有用
  • 緊急警報放送を見聞きしたら、まず避難や身の安全を図る
  • 震源が近いと間に合わない、沿岸部在住者は大きな揺れならまず避難を

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