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非常持出・備蓄の準備

「非常食=カンパン」の時代はもう終わり、非常食選びは次のステップへ   提言
非常食は今や味で選べる時代、でもカロリーは考えて   改訂'06/10/30

 非常食というと、助けが来るまで命を保たせるサバイバル食のイメージが強いようです。しかし実際の被災生活では、ただ生命維持に必要なエネルギーだけ摂っていればいい訳ではありません。被災生活の実態や過酷さが知られてきた今、非常食を購入する際に最も重視すべきポイントは、カロリーではないかと提言します。

被災生活は、何かと体力を酷使する日々

 ここ10年ほどの災害報道で、被災生活は飲まず食わずでじっと救助を待つのでも、単に避難所などでじっと過ごすものでもなく、実に多くのエネルギーを要する重労働の日々という、かなり正確な理解が浸透しました。例えば・・・

発災時 救出・救護はじめ発災時対応、避難・安全確保で心身を酷使 被災生活 不便な環境での生活物資調達、地域や避難所運営での当番も 生活再建 被害復旧に伴う各種の重作業、公的支援・保険関係の諸手続で奔走

      発災時
  • 家族や近所の人の救出・救護や、消火活動など極度の状況を迎えます
  • 非常持出などの物資を携えての徒歩避難も体力を要します
被災生活
  • ライフラインや交通事情が不便な生活は、何事にも時間と労力を要します
  • 普段と全く異なった生活は、想像以上にストレスと疲労を抱えます
  • 自治体の給水支援は、概ね半径1kmに1箇所での提供を目安としています
  • 収容避難所に入れた人でも、避難所運営組織の当番など役目が生じます
  • 被災生活は、普段以上に何かと歩き回る事の多い毎日です
生活再建
  • 被害の後片付け・家財の搬出・ゴミ処理など、復旧作業は慣れない重労働
  • 公的給付・民間補償関連の諸手続で奔走する場面もあります
 報道などでは、避難所でじっとしている人々の映像が映りがちですが、実際の被災生活は心身を酷使する日々というのが現実です。家庭でできる備えはせいぜい数日程度とはいえ、サバイバル食のような備えで疲労困憊しては、いざという時後悔してしまいます。非常食を備える際には、保存期限や味だけでなく、カロリーも考える必要があるでしょう。

     

過酷な被災生活に必要なカロリー・エネルギー量

 では、人は被災生活でどれだけのエネルギーを必要とするのでしょうか?生活強度別に、1日に必要となるエネルギー・カロリー量をまとめてみました。ご家族の非常食を備える際に、参考になさって下さい。

表1:生活強度別の1日の活動に必要なエネルギー量(栄養所要量)
Link 厚生労働省 第6次改定『日本人の栄養所要量』(1999年)
年齢 生活活動強度
低い
ほぼ家から出ない
やや低い
インドアワーク程度
適度
適度な労働や運動
高い
激しい労働や運動
男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性
〜6カ月 110〜120kcal/kg
〜1歳 100kcal/kg
1〜2歳 1,050kcal/日 1,200kcal/日
3〜5歳 1,350
kcal/日
1,300
kcal/日
1,550
kcal/日
1,500
kcal/日
6〜8歳 1,650
kcal/日
1,500
kcal/日
1,900
kcal/日
1,700
kcal/日
9〜11歳 1,950
kcal/日
1,750
kcal/日
2,250
kcal/日
2,050
kcal/日
12〜14歳 2,200
kcal/日
2,000
kcal/日
2,550
kcal/日
2,300
kcal/日
15〜17歳 2,100
kcal/日
1,700
kcal/日
2,400
kcal/日
1,950
kcal/日
2,750
kcal/日
2,200
kcal/日
3,050
kcal/日
2,500
kcal/日
18〜29歳 2,000
kcal/日
1,550
kcal/日
2,300
kcal/日
1,800
kcal/日
2,650
kcal/日
2,050
kcal/日
2,950
kcal/日
2,300
kcal/日
30〜49歳 1,950
kcal/日
1,500
kcal/日
2,250
kcal/日
1,750
kcal/日
2,550
kcal/日
2,000
kcal/日
2,850
kcal/日
2,200
kcal/日
50〜69歳 1,750
kcal/日
1,450
kcal/日
2,000
kcal/日
1,650
kcal/日
2,300
kcal/日
1,900
kcal/日
2,550
kcal/日
2,100
kcal/日
70歳〜 1,600
kcal/日
1,300
kcal/日
1,850
kcal/日
1,500
kcal/日
2,050
kcal/日
1,700
kcal/日
妊産婦 上記に加えて、妊婦350kcal/日、授乳婦500kcal/日を追加

     

非常食は今や味で選べる時代、でもカロリーは考えて

様々な味の非常食 食欲が湧かない災害時だからこそ、好きな味の非常食を

 市販の非常食は、この5,6年で改良・発達を遂げ、今や味で選べる状況になりつつあります。「非常食=カンパン」の時代は、そろそろ終わりと言えるでしょう。

 災害のショックで食欲が湧かなくなるのは事実です。とはいえ、上でも挙げたように被災生活は消耗の連続なだけに、食べずして乗り切る事はとてもできません。それだけに、非常食には好きな味のものを選ぶようにしましょう。

 近年では非常食のバリエーションも多く、和風・洋風・中華風・メキシカンなど、様々なメニューを確認してきました。典型的な事例として、アルファ米は各社重複メニューを除いても、約20種類近くのバリエーションがあるほどです。

過酷な日々を乗り切るために、カロリーも考慮に入れた非常食選びを

非常食のカロリー表示もしっかりチェック  上でも説明した通り、被災生活は過酷な日々です。だからこそ、非常食を購入する際には、保存期限・価格・味・調理性といった要素も大切ですが、カロリーも重要項目としてチェックしてはいかがでしょうか?

 多くの非常食は、1食当たり200〜300kcal台、中には1食で500kcal近いものまであります。ちなみに、お茶碗1杯分(150g)のごはんは252kcal(農林水産省総合食料局パンフレット)とのこと。しかし、中には1食分で100kcalにも満たない非常食もあるので、注意が必要です。

 一例として、写真下のとある非常食は1食分で64kcal。10食分食べても1日に必要なエネルギーの1/4程度しかなりません。これでは、何かと動く事の多い被災生活では体が持ちません。いざという時後悔しないために、非常食を購入する際はカロリーに関する項目にもしっかり確認して選ぶと良いでしょう。

     
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