市民防災ラボ

  
HOME > 防災のポイント > 発災・避難時の対処 > 応急手当を憶えよう
発災〜避難時の対処

頭より体で憶えるのが一番、いざという時、足を一歩踏み出す勇気を持つために   ポイント
身近に受講できる救命講習で応急手当を憶えよう   初出'07/12/30

 前項「助かるはずの命を救うための応急手当」でも述べた通り、日常生活で救急車を呼ぶ事態でも、到着するまでただ見ているだけ。また救急車すら来ない災害時、病院や応急救護所に運ぶだけ。それでは助かる確率はかなり低いのが現状です。そこで、助かるはずの命を救うため、必要な救命処置を実習できる「救命講習」を一度体験してみませんか?

救命講習・応急手当講習って、どんなもの?

消防署での講習風景  意識を失ったり大ケガした人を前にすると戸惑うものです。そんな時のために、心肺蘇生や応急手当を体験できるのが救命講習です。人としてのマナーの1つでもあり、生きる力を身に付ける機会ともなるでしょう。著書では救命処置の実技(手技)を記していますが、実際に講習を受けて体で憶えた方が断然いいので、是非ともお薦めします。

お近くの消防署・防災体験館で受講できます

修了証ももらえます  救命講習は、各地の消防本部が主催し、大抵の場合消防署で開催されます。また防災啓発施設(防災体験館)がある場合、そちらで行われている地域もあります。加えて、企業・学校・団体・サークルなどへの出張講習も行っています。

 指導は、現役の救急隊員や消防職員、また自治体より認定された応急手当指導員(筆者もその1人です)・消防団員が行います。費用は自治体が行う講習であれば、たいてい無料です。もし有料でもテキスト代数百円程度で済むでしょう。無事に終了できると、キャッシュカード大の修了証がもらえるので、励みになりますね。

主に3種類の講習があります

 いざという時に実践できるよう、どの講習も実技中心の内容となっており、基本的には、管轄する市区町村の在住・在勤者を対象に講習が開催されています。

講習の種類 時間 内 容 主な対象
普通救命講習 3時間 成人に対する、心肺蘇生・AED(自動体外式除細動器)使用を含む救命処置、止血法・異物除去 一般市民向け
II 4時間 施設従業員向け
上級救命講習 8時間 成人〜乳幼児に対する、心肺蘇生・AED(自動体外式除細動器)使用を含む救命処置、止血法・異物除去、外傷の応急手当、傷病者管理や搬送法など 一般市民向け
特に自主防災会・消防団・水防団・災害ボランティア、子どものいるご家庭におすすめ
応急手当
普及員講習
8時間×3日 普通救命講習の手技と指導要領、解剖生理と観察、指導実技 一般の企業・団体、防災組織などのスタッフ向け

 ただ、地元では普通救命講習しか行っていない、もしくは開催数が少ない地域もあります。その場合、大きめの近隣自治体や消防本部などに相談しても良いでしょう。筆者もそうでしたが、周辺地域からでも、受講を受け入れる場合もあるかもしれません。それとは反対に、上記講習の他にも、パパママ向けの乳幼児・小児講習や、心肺蘇生(CPR)のみ、ケガの応急手当のみなど、様々な講習が活発に開かれる地域もあります。

ひとこと: 中には、普通救命講習しか行わない、また頻度が少ない地域も多くあります。これは、現役隊員が出場の合間に講習せざるを得ない、救急現場の人手・予算不足。また、上級講習などを行う以前に、一般市民での心肺蘇生(バイスタンダーCPR)ができる人口をまず増やしたい、という救急行政の方針。この2つが主な背景にあります。

開催予定など詳細は、広報紙・ウェブサイトや消防署で

開催予定は広報紙にも掲載されます  募集案内は、たいてい地元自治体の広報紙に告知されています。また、自治体・消防本部・防災体験館のウェブサイトにも掲載される事も多いので、ご確認すると良いでしょう。わからない場合は、お近くの消防署にお訊きになれば確実です。開催頻度は、少なくとも年1回、多い所で毎週開催される地域など様々です。

     

普通救命講習I(3時間)・普通救命講習II(4時間)

 半日の講習で、最も基本的な救命処置の方法を体験できます。成人(体格上8歳以上を対象)に対する、心肺蘇生・AED(自動体外式除細動器)の使用といった救命処置、加えて出血時の止血法・喉に物を詰まらせた際の異物除去などを実習します。

     
1 講習は消防署などで開催 2 訓練人形を使い実技中心
消防署庁舎の外観 講習風景
筆者の住む人口4万人の田舎でも、最低年1回はあり、周辺地域では年6〜12回開催中です。 田舎町では受講生も少数ですが、実技もたくさん経験でき、和気藹々とした雰囲気も良いところ。

3 指導は救急隊員や有資格者が 4 気道確保や人工呼吸を体験
現役救急隊員による指導 気道確保の様子
救急隊員が一人一人丁寧に指導します。他にも消防職員や応急手当指導員が教える自治体も。 意識を失った人への、気道確保・呼吸の確認・人工呼吸にも、手順やポイントがあります。

5 一番大事な胸骨圧迫 6 AED(自動体外式除細動器)も
胸骨圧迫は心臓マッサージの新しい言い方です AED練習風景
止まった心臓を外から圧迫して血液を回し、臓器が死なないため酸素を送る胸骨圧迫も練習。 痙攣して血液を送り出せない心臓を、電気ショックでリセットする、AEDの使い方も体験します。


      普通救命講習IとIIの違い

 簡単に言えば、普通救命講習Iは一般市民向け、対するIIは施設従業員向けとなります。受講内容は同じですが、不特定多数の人が出入りする施設等では、救命処置を行う機会がより多いため、筆記試験や効果測定(実技試験)を行う分、普通救命講習IIでは1時間長くなります。といっても、試験は真面目に受講すれば十分できる内容なのでご安心を。

     

上級救命講習(合計8時間)

 8時間の講習で、成人の他に乳幼児までの救命処置、加えてケガの応急手当などを体験できます。成人から乳幼児までの心肺蘇生、ケガ・骨折の応急手当、体位管理や搬送法など、幅広い内容を体験できます。赤ちゃんや小さなお子さんのいるご家庭、また地域の自主防災会、消防団・水防団、災害ボランティアの皆さんには、こちらの講習をお薦めします。

     
1 心肺蘇生・AED使用法を実習 2 小児の場合の心肺蘇生や
成人の人形を使って効果測定 小児用訓練人形を使って解説
まずは普通救命講習と同じく、成人用の訓練人形で心肺蘇生やAED使用法の実習をします。 小さな子どもの救急事例や注意点も学び、小児・幼児用訓練人形で救命処置の実習をします。

3 乳児への心肺蘇生も実習します 4 外傷の応急手当も習います
乳児用の訓練人形で実習 三角巾の取扱い
赤ちゃんへの心肺蘇生法も体験できます。新米パパママも体験してはいかが? ケガや骨折に対する応急手当も学びます。ここでは、まず救護資材の三角巾の基本から。

5 その他の手当や体位管理も 6 運び出す搬送法も体験
頭部外傷への応急手当 簡易担架の作成風景
火傷や捻挫などへの様々な手当や、悪化を防ぎつつ苦痛を軽減する体位管理も学びます。 傷病者を移動させる場合の、人手だけ・手近な物を使った搬送法も体験します。


     

応急手当普及員講習(合計24時間)

 自分の所属する職場・団体のスタッフを対象に、普通救命講習を実施できる、応急手当普及員を養成するための講習です。企業・団体の安全衛生職員、また自主防災組織・消防団・水防団・ボランティア団体の方々に、受講をお薦めします。

 応急手当普及員には、自ら講習を企画・実施する権限が与えられ、訓練人形やAEDトレーナーなど資機材の貸与や、テキスト類の支給も受けられる様になります。
(中には、普及員単独では講習を実施できない消防本部もあります)

     
1 まずは手技(実技)の復習を 2 座学もしっかりあります
まず、実際に指導する手技が行えるか、みっちりと復習。課題や改善点をこの時点で直します。 人に教えるには、当然それ以上の知識と理解が必要です。指導者としての座学もしっかりと。

3 救急隊員から最新動向や背景も 4 講習での話し方・教え方の訓練
講習で活かせる指導面での最新動向や、救急現場での事例・実際なども具体的に学びます。 単に知識を伝えるのでなく、受け入れやすく意欲を持てる様な教え方を、実技で訓練されます。

5 課程の終わりに試験があります 6 無事に修了できたら修了証交付
3日間の締めに試験を行います。特に実技は、生徒役への実際の教え方が問われます。 無事に修了に足ると認定されれば、修了証が発行されます。筆者のはこんな修了証でした。


      応急手当普及員がいるメリット

 団体等では、関心はあっても、救命講習の実施になかなか至らないの現状です。背景として、講師(消防)と受講者双方でスケジュール調整を要する点や、受講者側には、受講するスタッフの穴埋め調整やコスト増などの隠れた負担、といった点があるでしょう。

 しかし、自スタッフが普及員になれば、自らの都合だけで講習が行えるうえ、スタッフ調整やコスト負担も節減でき、安全教育をより受けやすい環境を生み出せます。スタッフへの教育訓練がよりスムーズに実施できる様になり、加えて企業防災力の強化また地域貢献力の向上にも繋がるので、受講を検討されてはいかがでしょうか。

主に講習での指導方法を教わる場

 普及員講習では、教える立場としての深い理解と、講習での指導方法を主に訓練されます。仮に、救命講習未経験者でも受講は断らないでしょうが、実体験から、最低でも普通救命できれば上級救命講習を受講している人が望ましいと思います。

 実際の講習は、救命講習での一連の手技(実技)を習得した事を前提で進められます。少々脅すようですみませんが、実際、内容に付いてゆけない、指導者としてのレベルを修了できない方もおられます。とはいえ、意欲のある人なら十分修了できる内容です。難関の資格試験などではなく、あくまで「講習」ですから、その辺は過度にご心配なきよう。

      関連コンテンツ
HTML 防災のポイント・提言集 「いざという時に役立つ家族の医療情報リストを作ろう