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防災対策はじめの一歩

現実を踏まえつつ、バランスの取れた長続きする防災意識を   提言
防災対策は、災害国日本に暮らすマナー   初出'05/4/1

 家族が健康で日々何事もなく無事に過ぎれば言うことなしですが、不慮の事故や病気の場合もあれば、犯罪や自然災害など、日々の暮らしに突然降りかかる予見し得ない災いがあります。久しく水と安全はタダと言われたこの日本ですが、悲しいかな今や家庭でも「危機管理」を考える時代となってしまいました。そこで防災対策を見直す手始めに、我が身の被災経験と今までの防災研究から、まずこんな事を銘記して欲しいと思います。

日本は世界的な災害多発地帯、だからこそ防災対策はマナー

  私達の暮らす日本は、移ろいゆく四季の恵み豊かな国ですが、実はそれらは厳しい自然の裏返し。大洋と大陸の境界、海流と季節風の通り道、大陸プレートの交点にあり、歴史を通じ幾多の自然災害を経験してきたのは皆さんもご存知のことでしょう。

 過剰に不安がる必要は全くありませんが、世界の中でも元々自然災害が生じやすい場所に暮らす現実を見直すと、もはや「防災対策は災害国日本に暮らすマナー」と考えた方がいいのかもしれません。

具体的に、日本はどれだけ災害と身近なのでしょう?
    世界の震源分布
  • たとえば癒しの源である温泉も元は火山の副産物ですが、日本は全世界のわずか400分の1の国土面積しかないにも関わらず、世界の約10分の1の活火山がある火山国(10.4%、内閣府発行「我が国の防災対策」)です。

  • また地震に至っては、世界で起きるマグニチュード6以上の地震のうち約5分の1(21%、同)を占めています。右上図にあるとおり、世界的な視点で見れば、国土全体が地震・火山地帯の真上に乗った国、それが日本の姿です。

  • 地震はインパクトがあっても、人生への被害まで受ける確率は比較的少ないもの。実は日本人が最も平均して被害を受けるのは水害で、過去10年間に全国の自治体のうち9割が水害を経験し、約450の市町村は慢性的に被害を繰り返している(国土交通省河川局調べ)のが現状です。
 中には、災害のない地方はないかと、血眼に探す方もおられます。極論を言うと海外に出るのが一番ですが、それでは何とも非現実的です。いっその事、日本に暮らす限りは自然災害と共生してゆくべきもので、だからこそ防災対策はマナーであり作法だと考えた方が、より現実的な対応なのかもしれません。

     

その場しのぎで終わらないために、マナーとしての防災意識を

近年の顕著な地震と、防災先進県静岡県民の防災意識  防災というと、官民揃って「災害は恐いから対策を」とか「○○しないと生き残れない!」など、不安や恐れで人を煽るばかり。一時的に対策熱が高まっても、それでは地に足の付いた危機管理意識は育ちません。結局は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のことわざ通り、その場しのぎで長続きせずに終わってしまいます。

 それを表しているのが右のグラフで、私の暮らす静岡県における防災意識の経年推移をまとめたものです。顕著な地震が続いた平成5年から7年までは右肩上がりで、店頭には防災用品が溢れんばかりの勢いでした。でも顕著な災害が2,3年減ると、防災先進県と呼ばれる当地でも防災意識は冷め、比例して店頭も寂しい限り。当時は防災グッズの買換えに難儀したものです。近年は災害頻発のため、以前のピーク時まで回復しますが、次の防災グッズ交換時期の3年から5年後、現在の防災意識が本物かどうか明らかになるでしょう。

 そうした現状を見るに付け、不安に引きつり肩肘張って取り組むのではなく、防災対策は日本に暮らすマナー、といった感覚で向き合う方が、長続きする防災意識のためには良いのではないのでしょうか。

(防災専門家でも、前項の意味で「防災対策は日本人のマナー」と言われる方が多いですが、字面は同じでも本項の意味では少々異なります)

     

人は防災だけに生きるにあらず−日常とのバランスを忘れずに

 防災提言をする立場なのに、と意外に思えるかもしれませんが「危機管理と日常のバランスを保つ」という点も、家庭の防災対策では大切だと感じてきました。私達日本人は概して真面目なので、ともすると極端から極端へ走ってしまいがち。それだけに、これも防災対策の第一歩を踏み出す前に、銘記して欲しいポイントです。

陥りがちな2つの極端

 防災を職業とする人は別として、普通の一般市民にとって防災対策は、本来日々の暮らしに集中するための危機管理・リスク軽減策の一環に過ぎません。主従でいえば明らかに従なわけで、翻弄されるあまり本来の生活に支障が出ては、既に危機管理の域を外れてしまい本末転倒というものです。

 また真剣に取り組むのも大切ですが、災害への恐れから有り得ない完璧さを求めるのは、精神衛生面でかえって不健康というもの。「人事を尽くして天命を待つ」とのことわざの通り、ある程度の備えがひと度できたら、あとは本来の生活に戻る健全なバランスを心掛けましょう。

 竹内まりや宜しく「毎日がスペシャル」なら日々は充実しても、「毎日が非常事態」で自分の人生まで支配されては意味がありません。ゆめゆめバランス感覚を失わないよう、どうぞご注意を。

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