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防災対策はじめの一歩

我が家に合った防災を考えるための、2つのポイント一番目   提言
我が家仕様の防災は、地域環境で十人十色   改訂'10/1/1

 わが家に合った防災対策を見極めるための原則として、市民防災ラボでは「地域環境と家族環境を振り返る」事を提言しています。本ページでは、前者の「地域環境を振り返る」ための2つの視点・5つの方法を解説します。お住まいの地域環境は十人十色異なります。それらを確かめてから対策を行う事が、より役立つ防災対策の第一歩です。

本ページの内容は、著書・防災講演・ラジオ番組で話している内容を元にしています
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MP3 FMボイス・キュー 防災NOW インターネット放送「防災対策は、地域環境で十人十色」
MP3 FMボイス・キュー 防災NOW インターネット放送「地域環境で十人十色−我が街の公的支援能力」

地域環境で十人十色 − 1.地元の地理的環境

 言われてみれば、何も特別な事ではありませんが、防災行政やメディアから一般市民まで「防災=地震」という観念に捕らわれ過ぎた感があるかもしれません。地震より危険度の高い災害があっても、備えがおろそかになり、地震対策はしたが何と水害に遭った、という学生時代の筆者の様な愚かな結末を迎えては残念な限りです。

 地震以外にも、河川流域・急傾斜地・沿岸部・低地等々、お住まいの地理的環境によって危険度のより高い地理的環境は様々。数十〜数百年に一度の大規模地震より、数年〜数十年に一度の他の災害の方が問題な地域すらあります。固定観念に捕らわれず、地元の地理的環境を確かめて備えるのが、現実的かつ地に足の付いた防災対策でしょう。地理的環境をチェックすると、主に備えの種類が見えてきます。

     

1-1 「災害ハザードマップ」で地理的危険をチェック

災害ハザードマップは様々な種類がある  多くの自治体では、地元で予想される災害の危険度をまとめた「災害ハザードマップ(災害危険予測地図)」を整備しつつあります。我が家周辺の具体的な危険を確認できるため、防災対策の第一歩として確実に入手したいマストアイテムです。

 皆さんの指定避難所が、実は地震以外の災害で危険区域になっていたりなど、意外な発見があるかもしれません。

災害ハザードマップの内容
災害ハザードマップの様々な例
  • 地震・津波・水害・土砂災害・火山噴火など、様々な種類があります
  • 地図上に、危険区域・危険度・被害予測が色別で図示されています
  • 地域全体だけでなく、中には一軒一軒が判るほど詳しく載っているものもあります
  • 災害の種類によって危険な避難場所や、代替避難先がある場合もあります
  • 予想される被害だけでなく、中には過去の被害地域や状況を載せたものもあります

    こんな方は特にご確認を
  • 住宅・土地など不動産物件を建築・購入される方
  • 引越を予定される方(引越先での対策の確認)
  • 事務所・店舗などを構え、事業を営まれる方(事業所での対策の確認)
  • 自主防災組織・消防団・水防団・民生児童委員など、地域防災関係者

    災害ハザードマップの入手方法
  • 公的サービスのため、基本的に無料です
  • 広報紙等と共に、世帯配付されている自治体もあります
  • 世帯配付されない自治体でも、自治体の防災担当課窓口でもらえます
  • 役所Webサイト(ホームページ)で公開する自治体も多く、最新版が見られます
     HTML 国土交通省 ハザードマップポータルサイトでも公開されています(版が古い場合もあり)
  • 流域が長い河川では、国土交通省の各河川事務所でも制作・公開する事も

      入手上のご注意
    自治体によっては、「防災マップ」と銘打っても、避難所や自主防災倉庫・消火栓等の防災拠点しか載っておらず、災害危険地域や危険度を載せていない物もあります。役所窓口で、また役所Webサイトでお探しの際は「災害ハザードマップ」と指定して入手するのが確実です。

    1-2 ご自宅の住宅環境をチェック

    様々な住宅環境  都市部の住宅密集地であれば、(地震後を含め)火災危険度が高いうえ、狭い路地は避難も困難です。逆に、郊外や中山間地では、救出救護や被災者支援が受けにくく孤立しやすいため、事前にしっかりした備えが不可欠です。また高層住宅では、エレベーターが使えない日々の上下移動は想像以上に困難で、給水支援を受けての飲料水を抱えた上りとなれば尚更です。

     お住まいの住宅環境によっても、特に必要な防災対策は異なってきます。

    できれば:地元の市区町村史・古地図・航空写真をチェック

     更に余裕のある方は、市区町村史や昔の地図・航空写真をチェックしてみると良いでしょう。都市化で隠れてしまった地元の災害リスクを知る事ができるのでおすすめです。特に地域防災関係者の皆さんであれば、既存の災害ハザードマップに上記の情報を書き加え、更に地元仕様のハザードマップを作成して、重点危険地域として避難・救助班を向かわせる計画を立てたり、地域住民への防災啓発の一助としては如何でしょうか。

    図書館で市区町村史や昔の地図を見る
    地元の市区町村史や古地図は図書館のレファレンス室でご覧になれます  大抵の図書館では、地元の市区町村史や古地図を見る事ができます。市区町村史では、過去に地元で起きた災害の具体的な様子を、また古地図からは、今では宅地造成や河道改修で埋もれてしまった沼地・河川・谷間など、災害に弱い地理的リスクの痕跡を辿る事ができます。

     なお、それら資料はレファレンス室等に蔵書している事が多く、貸出しないものの館内でのコピーは可能な場合が多い様です。

    国土地理院Webサイトで昔の航空写真を見る
     国土地理院や国土交通省国土計画局によって、1946年(昭和21年)以降に写されたカラー・白黒の航空写真が、Webサイトにて公開されています。上記の古地図同様、現代では隠れてしまった地形の痕跡を確認でき、防災対策を行う上での参考にできます。
    HTML 国土地理院 国土変遷アーカイブ空中写真閲覧システム
    HTML 国土交通省国土計画局 国土情報ウェブマッピングシステム

    航空写真でわかる地域環境の一例
    過去の航空写真から判る災害に弱い地形
     上の写真は、筆者地元の新興住宅地。山を削った安定地盤にもかかわらず、左写真黄線部分のメイン道路周辺だけは、大型車両が通る度に家がよく揺れるとの声で、過去の航空写真を調べてみました。すると、造成当時・造成前の写真が見付かり、道路一帯は元々谷で、谷底を流れていた沢がそのままメイン道路となっている事が判明。恐らく、周囲の高台を造成する際に出た切り土で谷を埋めて造成し、周囲とは地盤の特性が異なる「谷埋め盛り土」であろう事が推察できます。

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    地域環境で十人十色 − 2.地元の公的支援力

     お住まいの自治体が災害時にどれだけ頼りになるかによっても、我が家の防災対策は異なります。頼りにならなければ、あらかじめ多めに備えないと、結局困るのは自分自身です。つまり、地元の公的支援力をチェックすると、主に備えの量が見えてきます。

    2-1 「地域防災計画」で地元自治体の被災者支援をチェック

    各自治体の地域防災計画  耳慣れない、この地域防災計画。つまりは自治体が作成した自分達向けの防災マニュアルで、主に各部署の平時・災害時対応がまとめられています。

     しかし、一般市民が知っておくと役立つ内容も多数含んでいるため、大抵の自治体では、そうした部分を一般向けに公開しています。地域防災計画から地元の実状をチェックして、我が家に合った備えの量と内容、また災害時の対応を決めておきましょう。

    チェックすると良い部分
    分厚かったり複数冊ある場合でも、以下を斜め読みするだけで意外な事実が判るでしょう
  • 資料編−非常食等の防災備蓄の内容・量・備蓄場所等々が詳細に載っています
       (年配者・乳幼児向け備蓄がない、実は最寄りの避難場所に備蓄がない等、意外な事実も)
  • 応急対策計画−発災初期の、被災者への支援内容が載っています

    地域防災計画の縦覧・閲覧方法 閲覧方法
  • 図書館で
  • 役所Webサイト(ホームページ)で
  • 自治体の防災担当課窓口で

     一番分かりやすい指標として、まず公的備蓄食数を調べてみる事をお薦めします。「防災の基本は自助努力、公的援助は最後の最後」にもある通り、意外な結果に驚かれるかもしれません。

     実際に公的備蓄がどれくらいあるか、幾つかの自治体の参考例はこちらのページでご覧になれます。それに比べて、皆さんの地元自治体ではいかがでしょうか。

    2-2 我が家の公的支援の受け易さをチェック

     収容避難所に入れず在宅被災生活となった場合、都市部・中山間地を問わず、災害時支援拠点から遠いほど、被災者への食糧援助や応急給水等の公的支援を受けにくくなります。それで、我が家に該当する災害時支援拠点はどこか、また災害時でも行き来しやすいかを事前に把握する事も、何をどれだけ備えておくかを考える目安になります。

  • 支援場所は、最寄りの収容避難所でない事も多くあります
  • 持病・要介護者やペット等災害時要援護者がいる家庭では、特に確認が大事です

     どこが災害時支援拠点に予定され、どんな種類の支援が行われるか、自治体発行の防災マニュアルや、上記で紹介した地域防災計画を調べてみると良いでしょう。

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    調べた地域環境をチェックシートにまとめてみよう

    わが家の地域環境チェック表   お住まいの地域環境によって、必要な対策は十人十色異なります。我が家に合った備えが確実にできるよう、防災対策を始める・見直す前にチェックしておきましょう。

     その一助として、市民防災ラボでは「わが家の地域環境チェック表」を2種類ご用意しました。
    PDF 印刷したら手書きで清書するPDF形式
    Excel パソコンで清書するためのExcel形式

     こうしたものを参考に調べた情報をまとめ、我が家で特に備える点は何かを検討した後に実際の防災対策に移るなら、より実際的な対策ができるでしょう。

    我が家仕様の防災は、地域環境で十人十色

  • 災害ハザードマップ(災害危険予測地図)から、我が家の地理的危険を把握
  • ご自宅の住宅環境から、災害時に特に不便な状況を把握
  • 地元の市区町村史・古地図・航空写真から、隠れた地理的危険を把握
  • 地域防災計画から、自治体による被災者支援の信頼度を把握
  • 防災マニュアル等から、被災者支援の受け易さを把握
    → 防災対策を始める・見直す際に、まず一度行ってみましょう
    (毎年行う必要はありません。一度行えば視点や意識が生まれるはずです)


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